Episode2〜「ロックスター」制作秘話
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8月6日(水)「ロックスター」でいよいよメジャーデビュー。
いままでのwapitiとはひと味違う、疾走感あふれるメジャーデビュー曲「ロックスター」についても話を聞いた。

──「ロックスター」。メジャーデビューにふさわしい、疾走感あふれる爽快なナンバーです。歌詞も曲もステージが一段上がった印象を受けます。
織田: 「ロックスター」はいろんな人に関わっていただいて、自分たちが表現したいものを何度も壁打ちさせてもらってできあがった作品。僕自身、相当しごかれましたね。夜が来るたびに不安になったり、今日中に歌詞を書かなきゃとか追われる時間がすごく多かったんです。自分自身が窮屈になっているときに出てくる言葉や、そのときの熱とか肌感とか、そういうものが詰まっている歌詞だと思っています。
誰でも一度は感じたことがあると思うんですが、昔は熱を持てた自分がいたのに、生活とか仕事とかいろんなことに追われて、いつのまにかその熱が冷めてきたり、燃やし方がわからなかったり……この曲で、その熱を再燃させてほしいなという思いがあります。今までの曲でも、もちろん誰かに伝えたいという思いは根底にあるんですが、そのときの感情や見ているものなど、自分が表現したいことに重きを置いて歌詞を書いていました。でも、ここ最近、僕らだけの曲じゃなくなる瞬間を感じる機会が多くて。たとえばライブでお客さんの顔を見ながら歌っているときにそれをすごく感じるんですね。自分の感じたままではなく、誰かの心に少しでも入りやすいような言葉を頑張って選びました。
──サウンド面ではいかがでしょう?
ハーマン:今回初めてストリングスのアレンジャーさんにも入ってもらいました。自分たちでは書かないようなフレーズ、出てこないようなリズムをたくさん入れてもらって、すごく新鮮でしたし、実際プレイするとすごく大変でした。毎回曲を作る度になんらか新しい挑戦はしていますが、今回はそれぞれがこれまでよりも難易度が高めの挑戦をしています。リズムがwapitiの曲の中で圧倒的に速くて、ヴァイオリンもフラットな普通の弾き方ではなく、「ヒュッヒュッヒュッ」と弓と弦を当てて上下させるボーイングの連続で弾いています。音の密度や濃さがこれまでの曲に比べて、格段に上がった気がしています。
工藤:メロディはたっちゃんが作ったんですが、アレンジの初期の段階でテンポをどうするかということになって。wapitiは元々ミドルテンポが多かったから、今回は速いテンポに挑戦してみようということになりました。駆け抜けるようなテンポ感。個人的には大好きです。
吉村:キーボードの部分は、たっちゃんが弾き語りしたものを私がアレンジしました。プロデューサーさんが入ったことで、今まで自分では出しきれなかったものを引き出してくれた。こういうふうにもアレンジできるんだと、気付きをたくさんもらえました。自分のアレンジの出し方が少しずつ感覚的にできるようになった、それが今回の進歩ですね。メジャーデビューで表に出ていくことになるけれど、そのなかにもwapitiらしい和気藹々とした楽しい感じを伝えられるといいなあ、と思っています。
──タイトルにはどんな思いが込もっていますか?
織田:仕事だったり、勉強だったり……たとえば僕の親は教師をしているんですけど、そういった自分のジャンルの中でトップランナーがいると思うんですが、でも必ずしもトップは目指さなくていい。自分の熱を自分らしく表現してほしいという思いからタイトルを決めました。僕が中学2年生の時に見たサザンオールスターズのライブ。そのときすごく衝撃を受けたんですけど。そのときのことも想像しながら書いていました。
──どんなときに聞いてもらいたいですか?
ハーマン: wapitiには出勤や通学とか移動しているときに聴いてほしい曲が多いんです。今回はとても元気な曲。天気のいい夏、スキップしながら聴くとかね。寝る前に聴くと寝れなくなっちゃうから、時間帯は夜よりも、朝ですね。
工藤:本当に溌剌とした曲。ノリもいいですし。一日の始まりに、通勤通学中で今日も頑張るぞと聞いてもらえるとうれしいですね。その一日を応援できるような曲です。
吉村:夢を持っているのに、現実的に考えて実現できるかなと不安に思ったりすることがあると思います。私もよくあります。ぜひそういうときに聞いてほしいですね。背中を押してあげられるような楽曲です。
──10月4日、待ちに待ったワンマンライブがSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催されますね。どんなお気持ちですか?
工藤:すでに気合いが入ってますね。自分たちだけの発表会を長くやっている時期もあったんですけど、メジャーデビューを経た今回は発表会とは違う。自分たちだけを見にきてくれるお客さんの前で何が届けられるのか、ライブを見てどういう気持ちを持って帰ってもらえるのか。普段僕がセトリを考えているんですけど、今回は時間をかけて考えて、いろんな展開を作りたいなと思っています。
ハーマン:初めてのワンマン、いろいろ作りたいなと思っています。たとえば曲の繋ぎの部分とか、メンバーが出てくるときとか、ボーカルが入らないようなインストを作りたいと思っています。いつもはたっちゃんが曲を作っているので彼の色がすごく出るんですが、バックグラウンドがメンバーそれぞれ違うので、そこを同じwapitiの音楽の中で表現できたら、幅も広がると思うし、お客さんにもまた違うwapitiを見せられると思います。
吉村:メジャーデビューして初めてのワンマン、感慨深いですね。今までのブッキングライブでは出せなかったwapitiの音楽や表現、パフォーマンスを思いっきり出したいです。過去イチのライブにしたいと思っています。
織田:自分たちのファンの方がお客さんで、自分たちのサポートメンバーやスタッフとともに作り上げるライブ。自分たちだけの演奏ができて、自分たちが作っている空間に酔いしれられるという愛おしい時間が早く来ないかな、と。率直に、ただただ楽しみというしかないです。
──メジャーデビュー、ワンマンライブを経て、4人で叶えたい夢は何でしょう?
織田:僕ら活動をSNSで知ってくれて、日本各地からそして国境を超えて、いろんなメッセージが届いています。僕らがツアーでいろんなところに回って、オンラインでしか繋がりがなかった人もオフラインでface to faceで顔を合わせることが、今の一番の目標ですね。
吉村:多くの方にwapitiの曲を届けたいですね。ライブの数をまだまだ増やして、表現の幅もどんどん広げて……。いろんな人のいろんな心境にwapitiの曲で後押しができたらな、と思っています。
ハーマン:僕はルーツが海外にあるので、僕の地元の人にも知ってもらえるように積極的に進んでいきたいですね。音楽を楽しみながら、このメンバーと一緒にどこまでいけるか楽しみです。
工藤:いまはストリーミングの時代。音楽が身近になっていると思うんですけど、やっぱりそれでも届かない人もいる。たとえば地方のおじいちゃん、おばあちゃんとか。そういう方たちにもwapitiの曲を届けられればな、と。たとえばテレビの年末の番組に出るとかね。自分たちの音楽をもっともっと広げられたらと思っています。